ご質問ありがとうございます。
詳しく話すと長くなるのと、ちょっとわかりづらくなるかもしれません。
追加でご質問あればまたいただければと思いますが
さて、淹れる前(以下:”粉”)淹れた後(以下:”液”)についてですが、
普段感じられる通り、「粉と液の香りは全く一緒ではない」というのが、正解になります。
なぜそうなるのかというと、まず香りというのは、鼻の細胞に化学物質がくっついた時に、それを認識したものになります。一度に検知する化学物質の量が多い=香りが強い、化学物質の種類・組成(何がどのくらいあるか)が異なる=香りが異なる。 ということになります。
コーヒーの粉と液で、香りの要因となる化学物質(以下、これを「香気成分」と呼びます)がどう違うかということを、この「量」と「種類・組成」で考えていきましょう。
まず、量について、コーヒーの液に含まれる香気成分は、抽出の際に粉から水に移動したものになります。したがって100%を移動させることはどうしてもできないので、量は「粉>液」になってしまいます。
さらに、コーヒーを効率よく抽出するために粉砕して粉にしますが、この時に豆が砕けることで中に閉じ込められた香気成分が失われることも、この「粉>液」の関係性をはっきりと強めます。
続いて、「種類・組成」についてですが、これもいくつかの要因によって、「粉≠液」の関係が生じます。コーヒーには800~1000種類の香気成分が含まれることが知られています。
多くの場合、水(お湯)でコーヒーを抽出しますが、香気成分には水に溶けやすいもの、油に溶けやすいものなど、それぞれ異なる特徴があり、また水の温度や接触する時間によっても、粉から水への移動しやすさが変わってきます。したがって「粉≠液」となります。
また、興味深いことに、焙煎したてのコーヒーの鼻に抜けるようなローストの香ばしさは「2-furfurylthiol (2₋フルフリルチオール)」という香気成分の効果が非常に大きいと考えられていますが、この成分はコーヒーの液の中では、ほかの成分と結合するため、香りとしては認識されなくなると考えられています。
以上のことから、どうしてもコーヒーの香りは粉と液で同じにすることはできないのです。
さて、これを踏まえたうえで、本当に知りたいことは「ではどうしたら、コーヒーの、粉から感じたあのいい香りを何とか抽出することができるか」ということだと思います。
ここからその説明をしようかなと思ったのですが、
ちょっと長くなってしまったのと、そろそろ社内の会議に参加しないといけないので、
また後程、お答えしたいと思います。
追記)少しわかりやすくするために、図解を付けました。