UCCラボ

調査依頼

2024/11/27 22:57

解決済み コーヒーの香りの違いについて

コーヒーの香りの違いについてちょっと悩んでいます。淹れる前の粉の状態の香りがいいなぁと感じても、飲んだ時に『あれ?飲んだら香り変わるのかなぁ?いい香りはどこに消えた?』、なんて感じたりもします。淹れ方が悪いのかなーとか、ちょっとガッカリしたりします。粉と飲んだ時の香りが変わるのはよくあることなんでしょうか?

ベストアンサー

UCC_R&Dはんざわ
2024/11/28 13:29

ご質問ありがとうございます。

詳しく話すと長くなるのと、ちょっとわかりづらくなるかもしれません。
追加でご質問あればまたいただければと思いますが

さて、淹れる前(以下:”粉”)淹れた後(以下:”液”)についてですが、
普段感じられる通り、「粉と液の香りは全く一緒ではない」というのが、正解になります。

なぜそうなるのかというと、まず香りというのは、鼻の細胞に化学物質がくっついた時に、それを認識したものになります。一度に検知する化学物質の量が多い=香りが強い、化学物質の種類・組成(何がどのくらいあるか)が異なる=香りが異なる。 ということになります。

コーヒーの粉と液で、香りの要因となる化学物質(以下、これを「香気成分」と呼びます)がどう違うかということを、この「量」と「種類・組成」で考えていきましょう。

まず、量について、コーヒーの液に含まれる香気成分は、抽出の際に粉から水に移動したものになります。したがって100%を移動させることはどうしてもできないので、量は「粉>液」になってしまいます。
さらに、コーヒーを効率よく抽出するために粉砕して粉にしますが、この時に豆が砕けることで中に閉じ込められた香気成分が失われることも、この「粉>液」の関係性をはっきりと強めます。

続いて、「種類・組成」についてですが、これもいくつかの要因によって、「粉≠液」の関係が生じます。コーヒーには800~1000種類の香気成分が含まれることが知られています。
多くの場合、水(お湯)でコーヒーを抽出しますが、香気成分には水に溶けやすいもの、油に溶けやすいものなど、それぞれ異なる特徴があり、また水の温度や接触する時間によっても、粉から水への移動しやすさが変わってきます。したがって「粉≠液」となります。
また、興味深いことに、焙煎したてのコーヒーの鼻に抜けるようなローストの香ばしさは「2-furfurylthiol (2₋フルフリルチオール)」という香気成分の効果が非常に大きいと考えられていますが、この成分はコーヒーの液の中では、ほかの成分と結合するため、香りとしては認識されなくなると考えられています。

以上のことから、どうしてもコーヒーの香りは粉と液で同じにすることはできないのです。

さて、これを踏まえたうえで、本当に知りたいことは「ではどうしたら、コーヒーの、粉から感じたあのいい香りを何とか抽出することができるか」ということだと思います。

ここからその説明をしようかなと思ったのですが、
ちょっと長くなってしまったのと、そろそろ社内の会議に参加しないといけないので、
また後程、お答えしたいと思います。

追記)少しわかりやすくするために、図解を付けました。
   

picture_icon-02-02 241128図解.pdf

りのっぴ
2024/11/28 21:28

はんざわさん、具体的な回答ありがとうございます!図解めちゃくちゃ分かりやすかったです。香りって色んなことが重なって豆、粉、液で変わるんですね~!いつも、粉のこの香りのコーヒーが飲みたいんだよなぁ、って思ってました(^^;液になると、違う香りのコーヒーで、あれ?ってなるんですよね。

AYUMIN
2024/11/29 10:35

わかりやすい!
ありがとうございます✨
続きが気になります((o(´∀`)o))ワクワク

UCC_R&Dはんざわ
2024/11/30 13:32

続きです。

コーヒーの粉と液の香りは、前述の通り、「量」と「種類・組成」が異なるためどうしても別物となります。
これを踏まえた上でどうやったらおいしく抽出できるかを考えていきましょう。

まず、「量」についてですが、抽出の時に考えるべきことは
「どうやって粉の香りを逃がさずに、より多く抽出液に取り込むか」ということです。

ペーパードリップの場合での代表的なポイントをお伝えすると
ひとつはコーヒーの粉と水の接触する時間をしっかり取る。
そのために粉をしっかりと”蒸らす”こと、注ぐお湯を細くゆっくりと加水することなどが大事です。

ただ長い時間をかければよいかというとそうでもなく、コーヒーの香りがだんだんと
放出されて香りが弱くなっていくので、適切な抽出時間で淹れる必要があります。

また、フィルターペーパーに直接かかったお湯はコーヒーと触れずにカップに落ちて行ってしまうので、コーヒーの香りを抽出していないことになります。なのでなるべくコーヒーの中心付近を狙ってお湯を注ぎましょう

「種類・組成」については、これはコーヒーの持つ香り成分自体の組成もかかわってくるので抽出の方法だけによってコントロールするのは難しいですが、一つ工夫できるアプローチはお湯の温度です。
これは高いほうがより多くの成分を抽出することができます。
しかし香りの放出も同様に早くなってしまい、また温度が高すぎると焦げっぽいにおいや芋のようなにおいの成分も多くとれてしまいます。そうするとコーヒーの香り成分がいいバランスにならないので、ちょっと微妙な香りとなることも。
一般に適切な温度は92~95℃くらいと言われていますので、沸騰したお湯を抽出用のポットに移してこのくらいの温度のお湯をうまく作りましょう。こだわりたい場合は温度計など使ってもいいと思います。

いろいろなところに、コーヒーの抽出の仕方、時間や温度など紹介があると思います。どれも正しいことを書いているのですが、実践しておいしいコーヒーを飲むためには、このような理屈やイメージを持つことが大事かなと思います。

粉の時に嗅いだ香りと全く同じ香りのコーヒーを抽出することはできなくても、それに近い香り、自分の理想とする香りのコーヒーに近づけることはきっとできると思います。

※いろいろ書いているうちにまだ話足りない部分ができたので、また後程補足投稿をします。

りのっぴ
2024/12/01 12:25

はんざわさん、続きをありがとうございます!蒸らしと注ぎ方、温度が重要なんですね(^^)焦げたような香りが抽出の際に出てきたので、それは温度が高すぎたんだなぁと勉強になりました。やはり、お湯の温度が分かるもので注ぐのが一番ですね☆具体的にありがとうございます!

UCC_R&Dはんざわ
2024/12/03 18:19

最後に少し補足です。

補足①:オルソネイザルアロマとレトロネイザルアロマ

粉と液で香りが変化する要因として、モノとしての変化に触れてきましたが、実はヒトの感じ方の違いというのも一つの要因として考えられています。

ヒトが香りを感じるための経路として2つが知られています。
ひとつは普通に鼻でにおった時の感じ方で、この時の香りを”オルソネイザルアロマ”と言います。
もう一つ、鼻は奥の方で口腔とつながっているため、飲食の際には口から鼻へ通じる香り、いわば”戻り香”を感じますが、この戻り香のことを”レトロネイザルアロマ”と言います。

それぞれの香りは同じ成分のものであっても感じる経路の違いにより別物として知覚されることがあります。コーヒーの場合も粉をにおった時、液を口に含んだ時、で香りの感じ方が異なるのはこの二つの経路が存在することに起因します。

(※少しわかりやすく、コーヒーでの用語を使って説明すると以下のようになります。
  コーヒーの”フレグランス” = ”粉/豆から感じるオルソネイザルアロマ”
  コーヒーの”アロマ”    = ”液から感じるオルソネイザルアロマ”
  コーヒーの”フレーバー”  = ”液から感じるレトロネイザルアロマ”

補足②:「YOINED」

今回のご質問の回答をしているうちに、思ったのですが、もしも「粉の時の香りをそのまま感じたい」という思いがある方は、昨年より製品展開しております「YOINED」を試してみるのがおすすめかもしれません。
これはチョコレートに似た食品ですが、コーヒーの粉の香りを閉じ込めて、油脂で固めたものになりますので、抽出したときに無くなる香りが感じられ、ものすごい強さのレトロネイザルアロマを体感できます。

(最後宣伝みたいになってすみません。。。)

りのっぴ
2024/12/03 20:33

詳しくありがとうございます!香りを感じる経路によって香り方が違うんですね~。またYOINED気になりました!ものすごい香りのレトロネイザルアロマ、とのこと。チェックしてみます(^^)

AYUMIN
2024/12/03 22:41

フレグランス、アロマ、フレーバー、言い方を変えてるだけだと思ってました。
ちゃんと使い分けがあるんですね。
勉強になりました!
これからは色々な香りの感じ方を意識しながら楽しめます😊

YOINEDはSCAJで試食をいただきました。
チョコレートの様で食べやすく、味としてはコーヒー豆がそのままチョコでコーティングしてあるお菓子に近いなと思いました。
飲むのとはまた違う香りの感じ方ですね。

9 件の回答 (新着順)
coffee
2024/12/09 20:36

はんざわさんが説明してるので、僕はなるたけ香りを閉じ込める方法を教えますね。
YouTubeのアカデミーでもしてましたが、サーバーを冷凍庫で冷やして置いてから、
そのまま抽出するという方法。
もう一つは、お金が罹りますが、パラゴンを使用してみるって、手はいかがでしょうか❓
原理は、サーバーを冷やすのと同じで、パラゴンと言う金の球体で、一度冷やしてしまって、
サーバーに抽出液を落とすと言う物です。唯、このパラゴン、値が張るので、アカデミーの
方法が良いのではないでしょうか?
以上、ご参考になれば幸いです。


りのっぴ
2024/12/09 21:47

ありがとうございます!サーバーを冷凍庫で冷やしてから抽出する、やってみたいなぁと思います(^^)香りも楽しみたいですね♪

gobou coffee
2024/12/02 21:04

初めまして、恐縮ながら回答します🙇
コーヒーはその時々の状態で香りの感じ方が変わるのはよくあると思います

豆•粉の状態の香りが「フレグランス」
液状の香りが「アロマ」
口に含んだ時の香りが「フレーバー」
と、細分化されるくらいには感じ方が変わります📕

例:エチオピア
豆の状態では「ナッツを思わせる香ばしさ」の物が、液状にすると湯気にそって「ジャスミンみたいな華やかさ」がでてきて、口に含むと「紅茶のような風味と黄桃のような酸味」になる

以上のように、その時々の状態で変わる物が多々あります

中には一貫して持ち前の香りで通す物もありますし、抽出次第で好きな風味を引き出す方法があると思います♪

工夫しながら、楽しみましょう😊




りのっぴ
2024/12/02 22:22

詳しくお答え頂きありがとうございます(^^)香りは状態によってかなり細分化されるんですね!工夫しながら香りをたのしみたいなぁと感じました♪

みどりん
2024/12/01 21:30

続きも興味深く読ませていただきました。はんざわさんのお答えが楽しみすぎてこのまま珈琲について連載して欲しいくらいです!私のような初心者でもわかりやすくラボで研究している気持ちになります(*'▽')

ゆーしー☕️
2024/11/30 05:17

確かに‼なぞでした。
図解の解説が分かりやすいですね!
豆を横に置いて飲むのがベストかも♪って思っちゃいました笑


りのっぴ
2024/11/30 07:04

豆を横に置いて飲むのありですね~(^^)香りも楽しめますし♪

yukinko
2024/11/30 09:20

豆を横!!
私、やってるかもです🤣
挽いたばかりのコーヒーミル横においてふんがふんがしながら飲んでます(笑)

みどりん
2024/11/29 21:09

とても分かりやすい説明でした!専門的なことを誰にでもわかりやすく説明するのはすごく難しいことなのに!私もはんざわさんのご回答の続きを楽しみに待ちます🌞

みどりん
2024/11/29 21:00

私も同じことを思っていました。豆(粉)の時はすごく好きな香りなのに飲んでみるとちょっと違う抽出技術がないからかなと思っていました。よい質問をしてくださって学ばせてもらいます😊


りのっぴ
2024/11/29 21:31

ありがとうございます(^^)同じことを思っていた方がいてなんだかホットしました…。はんざわさんの説明も続き楽しみですね!

うっしっし
2024/11/29 06:55

すごく興味深い‥☕️
香りの秘密㊙️

ますますコーヒー面白いですね!


りのっぴ
2024/11/29 08:40

興味深いですよね~香りの秘密(^^)

yukinko
2024/11/28 22:23

すごい素敵な質問ですね〜!!

なーんかどこかで読んだなーって思って探してみたらUCCさんの記事でした🤣
https://mystyle.ucc.co.jp/magazine/a_1231/

そして
はんざわさんのご回答が分かりやすいーーー🙌✨✨
「文系にわかりやすく説明出来る理系」最高ですね✨


りのっぴ
2024/11/29 00:11

ありがとうございます!そして記事もありがとうございます(^^)800種類もあるんですね!好きな香りに辿り着きたいものですね~。

マガジン、読んでくれて思い出してくれてありがとうございますー!(.>ω<.)ノ

かおりんご
2024/11/28 12:25

私も同じように思う事あります! 私もこちらで教えてもらいたいです。


りのっぴ
2024/11/28 21:26

返信ありがとうございます(^^)私も気になっていました!はんざわさんの回答分かりやすいですね~。